2024年5月、シベリアの中心都市ノボシビルスクに行ってきました。
2022年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年3ケ月が経ちました。
戦地から4,000キロ以上離れたシベリアの一般市民はどうしているのだろう?
長年お付合いしてきた友人知人達に会うために、そして、日本では報道されない現地のことを実際に自分の目で確かめるため、4年半ぶりに訪問しました。
ロシアとお付合いして30年が過ぎたMANAです。
広大なロシアの中でもシベリアとロシア極東をメインに活動しています。
2016年からNPO法人札幌ノボシビルスク協会の理事長をつとめ、シベリア地域との交流事業に積極的に取り組んでいます。
2024年5月に開催される「日本フェスティバル」に参加するため、ノボシビルスクを訪問しました。
プロフィールはコチラからどうぞ。
ロシアへの直行便がない
ロシアへの経済制裁の影響で、日本からロシアへの直行便はなくなりました。
以前は、日本からの直行便はモスクワ、ウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスク、ノボシビルスクへ飛んでいました。
現在、ロシアへ行くためには第三国を経由して行くことになります。
どこの国を経由してロシアへ行くかは行先によります。
中国経由でロシアへ
今回の行先はロシアのノボシビルスクです。
一番飛行時間が短くて一番安い航空券を選んだら、中国経由となりました。
羽田空港から中国の北京大興国際空港へ、トランジットホテルで6時間滞在した後、早朝にノボシビルスクへ飛びました。
日本からノボシビルスクまでの様子はコチラの記事をどうぞ↓↓↓
中国の北京を経由してロシアへ行くルートは何パターンかあります。
北京から就航しているロシアの都市は
モスクワ・サンクトペテルブルク・ウラジオストク・イルクーツクなどがあります。
S7航空
黄緑の機体がシンボルのS7航空でノボシビルスクへ飛びました。
新しくなったトルマチェボ空港
ノボシビルスク空港の正式名は「トルマチェボ空港」です。
ロシア人は「トルマチェーヴォ」と発音します。
新ターミナルは国内線のみ
「空港が新しくなった」と聞いていたので、ウキウキして到着したのだが。。。
4年半前と変わらない到着口、入国審査口、ターンテーブルに荷物検査場。
どこが新しいの?とお迎えに来てくれたリューダさんに聞くと
「こちらです」と案内されたのが、新しくなった国内線ターミナルでした。
赤い〇の部分が新しくなった国内線ターミナルです。
右上は以前と変わらない国際線ターミナルです。
スーツケースをぐるぐる巻く
日本の空港では見かけたことがないのですが、ロシアの空港ではスーツケースや荷物をラップで巻いてくれるサービスがあります。1回1,200円です。
スーツケースがパンパンに膨れ上がり、ファスナーが破損するリスクがあったためこのサービスを利用しました。
伸縮タイプのスーツケースカバーがあればよいかも。
ペリメニレストラン
空港内で食事をするなら絶対にココがおすすめです。
国内線ターミナル内の左側角にあります。
市内の地元食堂で食べるよりも料金は高いですが(空港価格)美味しいです。
帰国する前にもう一度、ロシア料理を食べたい時にぜひどうぞ。
ちなみに、お値段ですが、ペリメニ(15個入)とジュースで1,800円くらいでした。
ペリメニって何?
ロシア風餃子です。
もちもちした皮で、中身の具は鶏肉、合いびき肉、刻んだ野菜などです。
スメタナ(サワークリーム)をつけたり、スープをかけて食べます。
空港から市内のホテルへ
空港からノボシビルスク市内までは約16㎞です。
幹線道路が渋滞しており、市内中心部のホテルまで45分かかりました。
幹線道路沿いは工事中の建物も多く、中心部に近づくにつれ高層ビルが増えてきて、4年半前の景色とはずいぶん違っていました。
現在、ビックプロジェクトとしてオビ川に4本目の橋の建設が行われていました。
これからドンドンと街が発展していく雰囲気でした。
アジムットホテル AZIMUT
いつも訪問団が利用するホテルです。
コストパフォーマンスが良く料理も美味しいし、レストランも併設されているので大変便利です。
地下鉄駅までは15分ほど歩きますが、今回はタクシーを利用することが多かったため不便は全く感じませんでした。
レーニン通りを散歩する
ノボシビルスク市内のレーニン通りは国立オペラバレエ劇場からシベリア鉄道が停泊するノボシビルスク鉄道駅まで続くメイン通りです。
この通りを歩くだけでワクワクします。
若者がいっぱいで活気がある
ノボシビルスクは人口約160万人の大都市で、シベリアの中心都市ですからビジネスは成り立つし、大学が多いため地方から若者がやってくるなど人の流れが多いです。
レーニン通りには劇場や映画館、ショップやおしゃれなカフェもレストランもたくさんあるので、若者が闊歩しています。
この時期の夜9時、10時はまだ明るいのでイベントが開催されたりと賑やかな雰囲気につつまれていました。
地元のスーパー
地元の人々の生活を垣間見るには、日常的に利用するスーパーをのぞいてみるのがいいと思います。
物価はどなっているのか?と興味津々で近くのスーパーへ行ってきました。
24時間営業のスーパー「LENTA」です。
食料品、アルコール類、日用品など品ぞろえはいいです。
物価の値上がりはありますが、極端に高騰したわけではないようです。
ある日の私の夕食とおやつです。
①ロシアのコカ・コーラ(ドーヴリィー)(120円)、スイカ味ジュース(60円)、ブルーベリーヨーグルト(94円)、マカロニとハムのサラダ(98円)、クリームチーズ入りパン(60円)、チョコスティック(170円)、ネクタリン(220円)。
合計 822円
*ネクタリンは中国産の輸入品でした。ビタミン補給に朝夕にまるかじりしました。
②モルス(ベリージュース)(120円)、イチゴヨーグルト(92円)、ツナのおにぎり(125円)、リンゴ2個(93円)
合計 430円
*リンゴは1個いくら、で売っているのではなく、1㎏でいくら、と表示されています。
2個買う時は、果物売り場の近くにある計りにリンゴ2個を乗せ、リンゴの商品番号を打ち込むと値段が書かれたシールが発行されるので、それをリンゴを入れたビニールに貼ってレジへ持っていきます。
私が買ったリンゴは1㎏274円でした。2個計りに乗せると0.34kgで93円です。
ノボシビルスクではおにぎりがブームだそうです。
ツナ味は日本とあまり変わらないですが、ちょっと甘味がありました。
具は、照り焼きチキン、鮭、エビマヨ、ムール貝までありました。
ノボシビルスクの発展
ノボシビルスクには中央アジアからの労働者が多く、特にタジキスタン、キルギスタン、ウズベキスタンからの出稼ぎが目立ちます。
建設現場の作業員やタクシーのドライバーなどを見かけました。
どんどん高層ビルやタワーマンションが建ち、人口も増えていくのでしょう。
国内の観光客を呼び込む戦略
ノボシビルスクはもともと工業都市・商業都市としての色合いが濃く、観光都市ではありませんが、現在は観光事業にも力をいれていて、予算もついているとのことです。
その証として、新しく「観光インフォメーションンセンター」ができました。
ノボシビルスク市内の観光マップが新しく作成され、ホテル情報やレストランの紹介、地元のおみやげを販売していました。
観光マップはロシア人向けであり、インバウンド向けには考慮されていません。
ロシアは現在、経済制裁により、ロシア国籍の人が自由に海外旅行ができなくなっています。
そのため、ロシア人の多くはロシア国内への旅行を楽しんでいます。
そのような需要を取り込もうと、ノボシビルスク市も観光事業に動きだしていました。
一例をあげると、毎年モスクワで全ロシアが参加する「旅行博」が開催されていますが、ノボシビルスク州も大掛かりなブースを作り、シベリアの魅力をたっぷりとPRしていました。
あとがき
4年半ぶりのノボシビルスク訪問でした。
何が変わって何が変わらないのか?
日本では報道されないロシアの今を知りたい、自分の目で確かめたい思いを持ってロシアへ向かいました。
自分のライフワークであるロシアビジネスを続けていくには、この時期のロシアへの渡航は十分に意義があったのです。
西側諸国などから経済制裁を課せられているロシア、日常生活に多大な影響が出ているのかとおもいきや、ノボシビルスクではほとんどなし。
物流も止まっていない、人の動きもある、新たなビジネスも創出されている。
新たなビジネスとは、どちらかというとロシア国内での生産や取引の拡大がメインではあるが、海外に求めるものもかなりあったのですよ。
若手の起業家からは日本とのビジネスを模索していると相談されたし、マーケットを見ていると、日本企業や日本のやる気満々のベンチャーが進出できるニッチな分野はあると思いました。
現地に住んでいないので、私の見たロシアがすべて正しいとは思わないし、良い面しか見ていなかったかもしれませんが、ノボシビルスクは良い意味で変化していました。
変わらない友情
変わらないもの、それはシベリアの空気、シベリアの匂い、シベリアの風、シベリアの自然。
そして何よりも大切なものは私達を待っていてくれたノボシビルスクの市民の皆さんの温かいまなざしでした。
「ノボシビルスクへ来てくれてありがとう」という言葉とハグに涙がこぼれました。
今まで築いてきた信頼関係、友情という絆は決してゼロにはなりません。
私達は隣人であり、友人です。
そして、どんな時もお互いを想い、ずっと交流していくことが平和をもたらすものであると思っています。
次回はロシアのショッピングについて。