ロシア サハリンの北朝鮮労働者と一緒に現場で仕事をしたらはかどった

ロシア雑記

ロシア極東地方に出稼ぎに行く北朝鮮労働者の存在はロシアビジネスをしている日本人ならよく知っていることです。
ロシアにとっては労働力不足を北朝鮮の出稼ぎ労働者が補ってくれることはありがたいことであり、北朝鮮にとっては外貨が入ってくることで国が潤うというWin-Win(ウィンウィン)の関係と言えます。

この記事を書いている人

ロシアとお付合いして30年が過ぎたMANAです。
広大なロシアの中でもシベリアとロシア極東(サハリンを含む)をメインに活動しており、ロシア語通訳兼コーディネーターとしてビジネスに猪突猛進しております。
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現場はサハリン州ユジノサハリンスク市内

今回のお仕事はサハリン州の州都ユジノサハリンスク市内にある建設現場です。
ソビエト時代に建てられた団地が立ち並ぶ地区で、日本人の現場監督の通訳として、また現地のロシア企業との契約確認をするのが私の仕事でした。

ロシア企業と契約

今回の仕事は通常通りにロシア企業と契約をしました。
しかし、現場に行くとロシア人は1人もいなくて北朝鮮の労働者が作業服を着て内部解体と土台整備をしていました。
ロシア側の事情を聞いてみると
建設現場で働くのは7割が北朝鮮からの労働者であり、ロシア人を雇用すると報酬が高くなるので、最近は北朝鮮の労働者を雇用しているとのこと。

私達がサハリンへ行ったのが2019年11月です。
国連安全保障理事会による北朝鮮制裁で年末までに労働者送還が義務付けられていましたが、ギリギリその前だったのです。

評判の良い北朝鮮の労働者達

建設業関係のロシア企業をいくつか訪問した時に聞いた言葉は
「北朝鮮の労働者はロシア人よりもずっと真面目でしっかり働きます」
「仕事中にさぼったり、時間を守らなかったことは一度もない」
「技術が高くない人材もいますが、それでも現場では重宝しています」
一般のロシア市民の方から見ても、北朝鮮の方達は大人しく生活しているようで良いイメージを持っているようでした。

韓国人の通訳

現場での通訳は韓国人でした。
ロシア語、韓国語、朝鮮語、日本語ができるようでした。
ロシア企業から指示されたことを伝えたり、現場で日本人監督のアドバイスを通訳するのですが、通訳の韓国人はさほど日本語が堪能ではなかったので、私がロシア語で韓国人通訳に話し、韓国人通訳が北朝鮮の労働者に伝えるという、なんともやりとりが長かったです。

日本人現場監督(日本語)

私(日本語からロシア語へ)

韓国人通訳(ロシア語から朝鮮語へ)

北朝鮮の労働者(朝鮮語で理解する)

韓国人通訳は現場を持ち回りしているので、1現場に1~2時間しかいられないとのことで、打ち合わせが終わると次の現場へと去っていったのです。
打ち合わせをしたとしても、まだまだ細かい所を指示しなくてはならないため、図面に書いたりジェスチャーをしながらコミュニケーションをとりました。

北朝鮮の方と直接やりとりをする

2名の通訳を介してやっと意思疎通できるというやりとりをしていると、時間もかかるし意図がしっかり伝わらない状態になります。
韓国人通訳がいなくなった時、北朝鮮の労働者が直接私にロシア語で話しかけてきました。
決して上手なロシア語ではありませんが、伝わりました!
今までロシア人の指示しか受けてこなかったので、日本人の現場監督の指示が理解できなかったようです。
どうしてそのような段取りをするのか、次の作業がやりやすいようにするためだったり、二度手間にならないように事前に用意しておくことなどを説明すると、大きくうなずき笑顔になりました。

細かい数字を間違わないように、口頭だけでなく壁にチョークで数字を書いてお互いに確認しました。
内部の造作、大工工事が入る前に配線等の再確認がとても大事であることを伝えました。

あとがき

サハリンで北朝鮮の労働者と一緒に仕事をするとは考えていませんでした。
若者は絶対に建設現場では働かないから労働力が不足するロシア。
外貨を稼ぎたい北朝鮮はロシアへ労働者を派遣する。
その状況を実際に目の当たりにした貴重な体験でした。

北朝鮮の労働者はおとなしくてとても真面目でした。
一生懸命に通じるように私に話してくれて、私もしっかり聞くから通訳を介するよりも通じた。
言葉って完璧じゃなくても、「伝えよう」「聞き取ろう」とすると通じるんです。

サハリンと北海道は隣同士であり、多分野において関係が深い地域です。
新千歳空港からサハリンまでたった1時間で行けた場所でしたが、経済制裁の影響で、日本からロシアへの直行便がなくなり、日本からサハリンへ渡航するルートはかなり大回りになってしまいました。
1日も早く自由に行き来ができる状態になることを願っております。

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