なぜ着物でロシアへ行ったのか?
それは、ノボシビルスク市で開催される「日本フェスティバル」に参加するためです。
「日本フェスティバル」って何?
日本の伝統文化を発信するお祭りイベントです。
「お祭り」と聞くと、踊ったり歌ったり、露天が並ぶイメージですが、今回のフェスティバルはテーマが「書道と着物」でしたので、メインは展覧会でした。
ロシアとお付合いして30年が過ぎたMANAです。
広大なロシアの中でもシベリアとロシア極東をメインに活動しています。
2016年からNPO法人札幌ノボシビルスク協会の理事長をつとめ、シベリア地域との交流事業に積極的に取り組んでいます。
2024年5月に開催された「日本フェスティバル」に参加するため、ノボシビルスクを訪問しました。
プロフィールはコチラからどうぞ。
日本フェスティバルの大切さ
2020年から新型コロナウイルスのパンデミックがあり、2022年にロシアがウクライナに侵攻して世界情勢が変わってしまい、ノボシビルスクを訪問する日本人が激減しました。
2019年まではNPO法人札幌ノボシビルスク協会の訪問団20~30名がノボシビルスクやトムスクなどのシベリア地域を訪問して、日本フェスティバルを大いに盛り上げていました。
NPO法人札幌ノボシビルスク協会の公式サイトはコチラです。
日本フェスティバルは世界中で開催されています。
「JAPAN FESTIVAL]や「ジャパンフェス」などと呼ばれることもあります。
日本の魅力を発信して、その国との友好関係を築くことが目的です。
イベント内容は様々です。
日本の商品や技術を紹介して輸出促進するために、日本企業がブースを設置するビジネス系のフェスティバルもあるし、日本の食文化(日本食・和食)を発信したり、 訪日観光客を増やすための観光イベントフェスティバルなどもあります。
日本文化・芸術をメインとするフェスティバルでは、華道、茶道、剣道、太鼓、琴演奏などもあります。
一番人気があるフェスティバルは、ポップカルチャー、アニメや漫画だと聞いたことがあります。
日本のアニメは世界中で人気ですからうなづけます。
その国の人々に日本を知ってもらう、日本に興味を持ってもらう、日本を好きになってもらうことで、両国の友好関係が作られていきます。
日本の魅力を発信するイベントは両国の相互理解が深まる貴重なイベントです。
シベリアで開催する意義
NPO法人札幌ノボシビルスク協会がシベリア地域で「日本フェスティバル」を開催するに至った理由は、札幌市とノボシビルスク市が姉妹都市であるからが大前提ですが、それ以外にも大きな理由があります。
それは。。。
日本が大好きな人がたくさんいるのに、交流事業がない空白地域だったからです。
ロシアとの交流はモスクワやサンクトペテルブルク、または北海道から距離的に近いサハリン州との事業が多い中、シベリア地域はこれまであまり交流が行われてこなかったのです。
「パベーダ」での開会式
「パベーダ」はノボシビルスク市中心部にあります。
100年の歴史を持つ重厚な建物で、8本の支柱がモスクワのボリショイ劇場を彷彿させます。
映画館、講堂、コンサート会場、ギャラリーがあり、カフェやレストラン、バーも併設されている、ノボシビルスク市民なら誰もが知っている文化施設です。
「日本フェスティバル」の開会式は「パベーダ」の映画館を貸し切って行われました。
挨拶は
ノボシビルスク市文化局長代理として、観光・姉妹都市センター館長
NPO法人札幌ノボシビルスク協会理事長
在モスクワ日本大使館1等書記官
その後、舞台上で着物文化についてのトークセッションが行われました。
最後に映画上映です。
「久保田一竹の着物・絹の歴史」です。
久保田一竹は室町時代の「辻が花染」の技術を研究して、それを現代アート作品の形で復活させました。1994年には久保田一竹美術館を建設しました。
富士山を一望する絶景のロケーションに建つ「久保田一竹美術館」は、ミシュランガイドで10年連続、三つ星を獲得しています。
場所:〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口2255
ギャラリーでの展覧会
パベーダの中にはギャラリーもあり、ここで着物と書道の展覧会を開催しました。
パベーダが街の中心に位置することから、散歩の途中で立ち寄る人もいましたし、わざわざ地方から来てくれた方もいました。
交流事業で日本に来てくれた方と再会したり、大学の日本語学科の学生がボランティアをしてくれたり、たくさんの人が日本とのつながりを深めてくれました。
日本文化セミナー
ノボシビルスク市観光姉妹都市交流センター「シベリア北海道」の教室と多目的ホールを利用して日本人によりセミナーとワークショップが開催されました。
日本語学習者だけではなく、一般市民も多く参加して交流を深めました。
万葉仮名セミナー
万葉仮名についてのセミナーを行いました。
日本語には3種類の文字があります。
ひらがな、カタカナ、漢字です。
一番最初に中国から日本へ伝わったのが漢字です。
そのあとに、ひらがなとカタカナが誕生しました。
という導入部分で学習者の興味を引き付け、万葉仮名についてのセミナーを行いました。
万葉仮名の手作り表を貼って、それを見ながら自分の名前を万葉仮名で書いてみました。
書道セミナーとワークショップ
書道家長谷川悠貴氏によるセミナーとワークショップが開催されました。
ホールには作品が展示されており、それぞれの作品にドラマがあることを語ってくれました。
「風」といっても、いろいろな「風」があります。
さわやかな風
あたたかい風
冷たい風
強風だったり微風だったりの風を筆で表現しています。
「風」を書くワークショップでは、真剣なまなざしで筆を走らせていました。
筆を持つのが初めての人、墨で書くのが初めての人が目を輝かせてチャレンジしている姿をみていてとても嬉しく感じました。
折り紙ワークショップ
会員の方による折り紙ワークショップです。
私達日本人は小さい頃から折り紙に触れて来ていますが、ロシアの方は小さな紙を折って何かを作る経験はほぼありません。
紙を折って、様々な形を作り出す折り紙は、日本伝統文化の一つです。
あとがき
海外に着物を持参するのはかなり大変です。
着物一枚だけでも、付属品がたくさんありますよね。
着物用の下着、長襦袢、帯、帯揚げ、帯締め、帯板、足袋、草履などなど、これらすべてを持参するとスーツケースの4分の1がうまります。
少しでも軽い方が良いと思い、軽い小紋の着物で帯は名古屋帯、ウレタン草履を持参しました。
着物セットの重さは約5㎏でした。
日本の伝統的な着物を着ることで、ロシアのみなさんが喜んでくれたので5㎏の重さなんて大したことなくなりました。
着物は知っていても実際に着物を着た日本人を見るのが初めての人がとても多いです。
日本フェスティバルの期間はたくさんの人と写真を撮りました。
着物を着た日本人と一緒に写真を撮ったわ~という想い出がひとつ増えてくれたこと、日本文化に少しでも触れたもらえたことは日本人としても嬉しいです。
ほっこりするエピソード
着物を着てホテルからパベーダまでタクシーに乗りました。
すると、タクシーのドライバーが
「おぉ~!なんてすばらしい衣装なんだ~!着物を着た女性を乗せたのは人生で初めてだ!感動だ~!」と喜んでくれました。
こちらまで笑顔になりました。
ロシア側の目線で作成した動画があります。
日本語のテロップをいれました。
2024年5月、ロシアへ行って良かった。シベリアを訪問して良かった。ノボシビルスクで日本フェスティバルを開催して良かった。
一般の人々との民間交流は決して閉ざしてはいけないと思っています。
1日も早く、もっと自由に、もっと気軽に、もっとたくさんの人がロシアを訪問できる日が戻ってくることを願っています。